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●「セガ・入交社長の落日に思う」

 社運を賭けて投入した家庭用TVゲーム機「ドリームキャスト」と専用ソフトの販売不振で、セガ・エンタープライゼスの3月期連結決算が428億円の赤字となった。経営悪化の責任を取り、入交昭一郎社長は副会長に退き、オーナーCSK大川会長自らが社長に就任する背水の陣を敷いた。

 入交氏はホンダの元副社長。技術者として活躍後、ホンダの米国法人社長として現地生産を軌道に乗せ、一時は4代目社長候補の本命として「ホンダのプリンス」と呼ばれた。社長レースに敗れ、92年に副社長を辞任したが、翌年には米GM社のヘッドハンティングで、上級副社長就任がほぼ決まっていた。
 渡米直前、セガの「中興の祖」中山隼雄社長(当時)に乞われ、GMを蹴り副社長としてセガに入社した。98年に中山氏が大川オーナーとの確執などで失脚後社長に就任、ドリームキャストの陣頭指揮を執ってきた。

 週間朝日6月9日号の「“元プリンス”セガ・入交社長の落日」と題したコラムから元幹部社員の入交評を引用しよう。
 「イリさんは銀行の支店長みたいな人でしたね。人当たりはいいし存在感もそれなりにあるけど、自分自身の意思が感じられない。いちおうトップなんだけど、上からの指示が変れば方針もガラッと変えてしまう」
 「大川さんも中山さんも創業者的な気質に満ちたアクの強い人物。ゲーム業界自体がまだまだ未成熟で山師的な人も多い。ホンダで純粋培養されたイリさんが実力を発揮できる業界ではなかったのでは」
 コラムはこう結ばれている。「もしもあのとき、GMに入っていれば…。いま、入交氏の胸には、そんな思いが去来しているのかもしれない。」

 これを読んでいて、トヨタのデジキューブへの資本参加(15億円)を想起した。デジキューブはTVゲームソフト大手スクウェアの子会社で、コンビニの店頭端末でゲームソフトなどを販売、豊富なコンテンツを保有する。トヨタは自社のECサイト「Gazoo」を中心にネット関連事業を進めているが、魅力的なコンテンツが不足。今回の資本提携は、コンテンツがほしいトヨタと、資金がほしいデジキューブ両社の思惑が合致したもの市場では受け止められている。

 これまで多くの企業の新事業分野への参入、なかんずく異業種への進出がことごとく苦戦・失敗している。クルマ業界も然り。常に話題となるトヨタの住宅事業や通信事業だけでなく、バブル時にディーラー経営に新規参入した多くの異業種企業が撤退の憂き目にあっている。
 総合ECサイトへと変貌する「Gazoo」だが、本業のクルマ関連コンテンツすらお寒い状況で、果たして勝算はあるのだろうか。

(00/06/03 わたなべあさお)

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