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雑誌の新車インプレッションでも最近は欠点を指摘するようになったけれど、それもまだまだ本格的じゃない。それに、指摘する場合にも配慮があって、クルマの本質にさほど影響のない部分だけにしておいたり、あるいは過去を否定して現在を肯定する、つまりプラスマイナス・ゼロにするのが常套だったりする。
いま売りの「driver」でのトヨタ・ブレイドがいい例で、評論家のM氏が例によって開発コンセプトに沿った肯定的感想を見事にまとめあげている。まだ若手と言える年齢だろうに、M氏の御用ぶりときたらベテラン並みで、唯一の指摘はパーキングブレーキレバーのリリースボタンが操作しにくいという一点だけだそうだ。いやあ、1台のクルマで欠点がこれだけとはスゴイもんである。これが前者ね。
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後者は2ヶ所ある。まずマフラーの話で、先発のオーリスはフロアセンターにメインマフラーがあってこもり音がするけれど、ブレイドはリアフロアに移してこれを改善したという話。もうひとつは天井照明。先に採用したマークXは「これみよがし」で品がないけど、ブレイドはさりげなく品があるという話。
じゃあ、オーリスやマークXはインプレッションでその点を指摘したのかといえば、もちろんそんなことはしない。書いたとしても、もっとオブラートに包んだもの言いだ。大切な新車を持ち上げるためには、すでに販売済みのクルマを踏み台にしても思いのほか影響は少ない。それによって新車のイメージが上がる方がよほどいいという判断で、これなら安心してケチを付けられるワケだ。
あまりに使い古された手法だから、いまでもこうして使われていることに逆に驚いてしまう。しかも若手の評論家である。いや、若いからこそいまさら使うのか?
ま、どっちにしても、こんなことを書いている方は早々に退場願いたい。
(07/01/08 すぎもとたかよし)
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