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コラム&レビュー

新車心象風景:メルセデスのカタチ

 
 もともとメルセデス・ベンツのエクステリアは特段目立つようなこともなく、どちらかと言えば地味だったけれど、地味は地味なりに、それが定番と言えるところまで到達していたと思う。けれども、ここ数年はどうにも妙な具合である。


 写真のGLクラスがGクラスの後継と言うにはあまりに平凡過ぎるように、最近のメルセデスはとにかくオリジナリティに欠けていて面白くない。たしかにラインナップを見渡せば皆同じ要素を持っているんだけど、それ自体がツマラナイんである。

 現行車種の多くに共通する特徴は、フロントのホイールアーチからいきなりキャラクターラインが始まって、それがリアまで駆け上がるという手法。これはAクラスから始まって、B、R、そして間もなく出る新しいCL、Cクラスにも採用されるみたいだ。これはいまのチーフデザイナーの好みなのかどうか分からないけど、どう見てもラインの立ち上がりが唐突過ぎて、造形的に必然性が見当たらないんである。


 
 で、この唐突なキャラクターラインを除いてしまうともう何の特徴も残らなくて、恐らくスリーポインテッドがなければどこのクルマが分からないかもしれない。さらに言うと、このラインを持っているとしても、それはとても定番になるような代物じゃないんである。

 メルセデスは保守的なイメージがあるけれど、実際には色々とチャレンジングで斬新な提案をするメーカーである。けれども、残念ながら現在はエクステリアの魅力の無さが足を引っ張っているような気がしてならない。少なくともライバルのBMWやアウディのような完成度には程遠い。

 いや、もしかしたら、もはやメルセデスは”定番”なんて発想をとっくに捨ててしまっているということなのか?

(06/10/15 すぎもとたかよし)

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