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コラム&レビュー

クルマのまわりで:海外ショー、デザイン雑感(その1)

 
 海外モーターショーが花盛り。ということで、その中から国産メーカー出展車のデザインチェック。まずは、ニューヨークモーターショー2019から。

 まず最初は、スバル「アウトバック」。先のシカゴショーでのレガシィ発表時にここで残念な感じであることを書いたけれど、これをベースとするSUV風ボディも、当然それなりに残念なんである。


 長いオーバーハングによるボリューム過多のフロントセクションは相変わらずで、しかも既視感満載の切れのないフロントフェイスによって新型感も欠ける。一方、例の「ダイナミック&ソリッド」によるカーブしたキャラクターラインが走るボディは、必要以上に痩せて見えてしまってフロントの重さを受け止められていない。

 リアに向けて絞られるサイドグラフィックは、そのボディの中での居場所がボンヤリしていて、SUVとしてしっかり感を出したいのか、シャープにスポーティさを狙っているのかが何とも曖昧。

 また、コンセプトカーではシャープに表現される「コの字」型ランプは、どういうワケか量産ではボテッとしていて重たい。とくにリアランプはSUVらしい力強さを加味した・・・ということなのかもしれないけど、実に野暮ったい。

 新型のハイランダーは、かつてのクルーガーの後継。最近のトヨタデザインはなかなか難儀だけど、いやこれはまたスゴいことになっているなあと。



 切れ長の目と、エンブレムが妙に上に付いたスバルみたいなグリルの組み合わせがまず変だけど、その下で左右に広がるエアインテークがプレデターの顔みたいにグニャっとして実に気持ち悪い。

 
 サイドでは、リアフェンダーの大きな張り出しがアウトドア的な表現なんだろうけど、一方で、Aピラーをブラックアウトし、まるでスポーツセダンのように伸びかにしたグラフィックと、どうにもアンマッチングだ。

 ミッドサイズSUVと思いきや、リアランプはカムリみたいというのも同じで、もしかしたらその融合がコンセプトなのしれないけど、とにかく分かりにくい。クルーガーはもっと明快だったと思うんだけど。

 ニューヨークショーに先立つ北米の音楽イベントで発表された日産ヴァーサは、ラティオに相当するコンパクトセダン。ご存知のように、現在の日産はデザイン要素として「Vモーショングリル」「ブーメランランプ」「キックアップウエストライン」「フローティングルーフ」を掲げている。


 これらをコンパクトなセダンに落とし込んだのがヴァーサなんだけど、なんて言えばいいのか、それが手段というより目的になってしまっているように見えて仕方がないんである。

 シュッとしたクーペ調ボディに各種の要素を「全部盛り」にしたボディは、たしかにいまの日産っぽいんだけど、じゃあそれは個性的であり美しいクルマなのか?

 たとえば、そうしたデザイン言語がなかった初代のティーダラティオは、何かがひどく物足りないとか、あるいは安っぽかったかと言えば、そんなことはまったくなかった。むしろ、全体のまとまり感は遙かに優れていたと思う。

 ニューヨークショーなど、3台は北米市場を強く意識した商品開発なんだろうとは思う。だから「そこは意図的なんだ!」という声もありそうだけど、まあそれにしても個人的には残念な感じだ。

(19/04/22 すぎもとたかよし)

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