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コラム&レビュー

新車心象風景:ダイハツ・ミラトコット

 
 たぶん、これがクルマだと思うからいけないのかもしれない。


 発表会では、若い女性開発チームの紹介がにぎやかに行われ、彼女たちの「本音」がしっかり落とし込まれていることが語られた。即ち、女性=カワイイという発想は男性目線による実に安易なものであり、私たちはそんな単純な感性を持っているワケじゃない。2018年を生きる若い女性は、もっとシンプルで自然体でいることを大切にしているのだと。

 かつてミラ・ココアを手掛けたという男性チーフエンジニアは、最初は彼女たちの提案がなかなか理解できなかったけれど、丁寧な説明を聞くうちに最後には「なるほど」となったと嬉しそうに語った。

 ウーン、何だろうそれは?

 いや、その違いについては理解できる。チームがそうしたように、お洒落なセレクトショップだの流行のカフェに行けば「いま」の生活感や雰囲気がそこにある。それはミラ・ココアのぬいぐるみ的趣味じゃないことも分かるし、もっと言えば僕もそうした感覚は嫌いじゃない。

 けれども、だからと言ってその程度の「違い」がクルマを作る動機やコンセプトになるのかと言えば、まったくそうは思わない。あえて言うけど、実にくだらない。


 
 チーフデザイナー氏は、開発スタッフ間に「女性のための」という認識はなく、性差は意識しなかったと語った。つまり、今回は”初心者の若い女性”転じて、運転のしやすさや使いやすさという普遍的な基本性能を大切にしたのだと。

 けれども、それは別段トコットに限定するような話じゃないし、今回優しいと自慢するパノラマモニターやUVカットガラス、シートヒーターやスマアシVなどはどの車種にも用意される既存の機能であって、逆の意味でトコットだけの話じゃない。

 ま、どうこう言っても発表会では女性チームがズラッと並んで挨拶をしたんである。それで「若い女性のためじゃない」というのは無理がある。まずは若い女性にしっかりアピールし、誰にでも使いやすい云々はまあその次に加えておこうと。まる子ちゃんのTVCFがそうであるように。

 その証拠か、自分らしさ云々を謳っておきながら、結局「スイートスタイル」だの「クールスタイル」だの、いかにもありがちな3パターンをメーカーが用意するのは、もはや悪い冗談とも言えるだろう。

 で、個人的には、チームの女性たちに聞いてみたい。本格的に女性が企画に関わるとき、それがちょっと優しい色だのシンプルなカタチだの、あるいは便利な収納を備えた安普請のクルマでいいのか? あなたたちの感性やら主張というのは、「カワイイ」の中身のわずかな違いを訴える程度なのかと。

 まあ、これがクルマではなく、それこそセレクトショップで売られる500円の雑貨ならいいのかもしれないけれど。

(18/08/08 すぎもとたかよし)


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