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XC40は、久々に感心してしまったスタイルなんである。
コンセプトカーとして「40.1」と「40.2」が発表されたときに、このブログで「これは期待できる」と書いた記憶があるけれど、ほぼそのままの姿で出てきたわけだから、感心するのは当然ということかと。
ボルボスタイルを統括する新しいデザイントップが元VWグループ、とりわけシュコダで腕を振るっていたと聞けば、なるほど新90シリーズ以降のシンプル路線も腑に落ちる。もともと堅実なデザインを貫いていたボルボだけど、そこに磨きをかけ、さらにVWとは異なる種類の上質感を与えたのが上手い。
勘違いをして欲しくないのは、XC40が昨今珍しい、懐かしの直線基調だからいい、という話じゃないことだ。直線、曲線の話じゃなく、あくまでもまとまりの問題なんである。デザインのテーマが全身に行き渡っていて、破綻がないのはもちろん、表現したかったであろう意図が瞬時に理解できる。そのアプローチには無駄がない。
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先のコラムで、新しいトヨタのRAV4やスバルのフォレスターのことを散々に書いたけれど、あれもこれもと盛ったり、おかしなラインを引いてテーマがボケまくっているところで、「これが当社のデザインフィロソフィだ」と声高にアピールすることが、いかに稚拙かということがよく分かるだろう
さらに上手いのが、90、60、40と、単に大きさだけを変えるのではなく、それぞれに違ったテーマを持ち、その上で共通のイメージを持たせているところだろう。カジュアルなスニーカーをイメージするXC40は軽やかだけど、トータルなシルエットはXC60に極めて近い。近いけれど別の個性がある。
その点では、たとえばドイツプレミアムやフランス勢も、しっかり丁寧に作り込んではいるものの、いまひとつ明快な個性が打ち出せていない中、XC40のインパクトは大きかったと思う。だから、欧州イヤーカー受賞も順当なところだ。
個人的には、「40.2」ことS40(仮)により興味がある。流行のコンパクトSUVが各メーカーで個性を競い合っている中、いまセダンには新しい提案はほとんど見られない。そこにXC40級の風が吹くとしたら、間違いなく面白い展開になるだろうから。
(18/05/04 すぎもとたかよし)
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