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アルピーヌA110とメルセデス・ベンツGクラス。もちろん、写真を見てのスタイル雑感だけど、両者約40年ぶりのモデルチェンジが対照的で興味深いんである。
マツダ、ルノーと経験を積んだ日本人デザイナーによる新型A110は、特徴的なフロント4灯と鮮やかなブルーのボディを筆頭に、初代のイメージが色濃く継承されたスタイルだ。ただし、そういうアイコンを除けば、新型はいかにもイマドキのスポーティクーペな佇まいでもある。
一方のGクラスは、事前に異例のキープスタイリングという話は聞いていたけれど、ディテールも含めて想像以上に「そのまま」の格好となった。たとえば、Aピラー下の分割ラインやサイドモールなど、そこまでやるか?の徹底ぶりだ。
で、今回のモデルチェンジについて言えば、個人的にGクラスの方がすんなり飲み込めた。それは、単にどっちが先代に近いかといった話じゃなく、スタイリングへの取り組み方の問題として。
端的に言って、アルピーヌの新型は中途半端に見えてしまう。もちろん、初代を強く意識すること自体はいいとして、しかし、それを越える「新しさ」が見当たらない。
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デザイナー以下スタッフは、「復活」ではなく、A110がそのまま継続されていたらと考えたらしいけれど、だとしたら、これはかなり漫然としたモデルチェンジだとしか思えないんである。
たとえば、リア下がりのボディは初代の特徴とはいえ、40年もの時の流れの中で、そのまま「なぞる」必要が本当にあったのか。逆に、ロアグリルやリアランプなどの細部は、安易にイマ風な表現に走っていないか?
復活だろうが継続だろうが、新型である以上先代を越えた「何か」があって然るべきで、偉大な初代に向かうのであればなおのことだろう。仮に、基本スタイルを変えても、美しさや新しさが備わっていれば、新時代のA110としての説得力を持つ筈だ。
分かりやすい話、この新型が40年後に初代のような魅力を放っているのか?少なくとも僕は懐疑的だ。そこまで追い込んで考えたというより、初代をアップデートする快感に走ってしまった気がする。
その点、Gクラスは「変えない」という判断がシンプルだ。もちろん、新型としてパネルの面質に磨きをかけるなどの進化はあるし、一方で、常に目や手に触れる内装は完全リニューアルし、新世代感を出したのも巧い。つまり、この判断は決して「後ろ向き」じゃないと。
A4判系雑誌では、アルファの新型同様例によってA110も絶賛で、中には「新たな伝説が生まれる!」なんていうのもあったりする。マニアらしい高揚感は理解できるけど、だから僕にはまったく賛同できないんである。
(18/02/18 すぎもとたかよし)
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