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もうそろそろ、腹をくくった方がいいような気がするんである。
今年の東京モーターショー、ここ数回と同様アメリカとイタリア勢が不参加なんだけど、さらに、あのミニまでが辞退したみたいだ。
これはマズイと、評論家の岡崎氏は雑誌のコラムで、より東京らしさ、日本らしさをアピールして挽回するべきと書いている。具体的には自動運転などの高い技術の披露で、ここは国をあげての取り組みが必要だと。
まあ、技術立国としては分かりやすい話だけど、それが東京ショーを復活させる切り札だとはちょっと思えない。だいたい、自動運転技術などは特段日本がリードしているわけじゃないし、いまどき先進国間で大きな差ができるようなものじゃない。
国際自動車ショーの盛況如何は、当たり前だけど注目するべきクルマがどれだけ出品されるかだ。ワールドプレミアを筆頭に、世界中からどれだけ充実したクルマが持ち込まれるか。
その点、日本市場は輸入車シェアがせいぜい1割という特殊な状況。もちろん、この状況を、たとえば国や自工会が何とかしようなんて発想はこれっぽちもない。自動車先進国として、輸入車は3割くらいが健康的な市場だ、などとは考えない。安くて便利な日本車が売れればそれでいい。
であれば外国メーカーが辞退するのは仕方がない、というか受け入れるしかない。1割の大半を占めるドイツプレミアが来てくれるだけで恩の字だ。
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さらに、当の日本勢もまた、重要な車種の発表を外国ショーに移行しているんである。それこそ東京じゃなくて「あっちの方が影響力がある」という理由でもって。そういう流れを自ら作っている。
外国車は売れなくていい、日本車も外で見せる、となれば、国際ショーとして傾いていくのは当たり前の話だろう。それで盛り上がれというのは虫がよすぎる。
もちろん、技術に特化したアピールなどは本来脇道なのであって、それはパシフィコ横浜でのイベントでもう十分なんである。
そんな現状を踏まえれば、東京は国際ショーをあきらめるしかないと思う。いや、実際にはすでにそういう状況なんだけど、それを受け入れると。なまじ、国際ショーを気取るから「ほつれ」が目立つわけだし。
ということで、もうローカルショーとして腹をくくり、いっそのこと好調なオートサロンと統合させてもらえばいいんじゃないかと思う。「かわいい」と「ヤンキー」が交差するイベントはまさに東京、日本そものもだし、軽や内向きなワールドプレミアにも違和感がなくなるし。
変な話、東京が国際ショーでなくなるのも、あるいはオートサロンと一緒になるのも、両主催者のプライドと困惑を除けば、ユーザーにとって特段困ることはないんじゃないかと思う。
もしかしたら、それが外国勢の参加への近道だったりするかもしれないし。
(17/07/03 すぎもとたかよし)
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