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悪くはないけど、同時に残念な感じもある。
少し前の『ベストカー』誌での小特集。「その評価本当に正しいの!?」は、最近のインプレッション記事はやたら褒めちぎる記事が多すぎる、という読者からの指摘を受けたものだとか。たぶん、新型プリウスあたりの話じゃないかとは思うけど。
これについての著名評論家3人の対談は、ある種本音のようなことも書かれていてなかなか興味深いんだけど、一方で突っ込みどころもあったりする。たとえば、「いまの時代、欠点をあげる記事が求められているのか? 辛口スタイルで成功したのは徳大寺さんくらいだし・・・」
欠点の指摘は求められているか否かで決めるものじゃないし、そもそも「辛口スタイル」という捉え方からしておかしい。つまり、ベタ褒めじゃなければ辛口などという両極端な発想自体が間違いなんである。
当然のことだけど、評論はフラットであるべき。よいところは褒めればいいし、そうじゃない部分は淡々と指摘すればいい。どちらかに偏る必要はどこにもない。そういう意味で、徳大寺氏は「辛口スタイル」なんかじゃなかったと僕は思っている。
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「言い放しはよくない。自分は試乗会でおかしいと思ったことは開発陣に伝えている。許せないのはコストのせいにする開発者だね・・・」
いやいや、開発陣に言うよりも記事にしなくちゃ。意見を公にしなければそれこそ言い放しでお蔵入りになってしまうしね。もちろん、許せないことがあるならそれこそをユーザーに伝えるのが仕事でしょう?
後半の評論家諸氏による「実はここがおかしい」記事はいささか取って付けたようなもので、まあ今回の特集として支障のない範囲で”異論”を書いた感じだ。
ただ、仮に一回限りの思いつき企画であっても、こういう記事が載ることはもちろん悪いことじゃない。だって、それすらやらない媒体もあるわけだし。
けれども、同時にこの特集でわかったのは、著名な方々であっても現場はこの程度の認識なの?という事実だ。辛口は求められているのか、批判は覚悟や勉強が必要、編集部の意向もある等々、これはいったい何十年前の話なんだという。
流れの中での思いつき企画であっても、そういう実状が垣間見れたのは興味深いし面白い。仮にそれが残念な場面であったとしても。
(16/03/16 すぎもとたかよし)
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