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新しいプリウスの記事がなかなか残念なんである。
クルマ各誌で展開される新型プリウスの記事、これが一様に絶賛な感じだ。もちろん、誉め称えるべきクルマが出てくるのは歓迎だけど、あまりのハシゃぎぶりには少々違和感もあったりする。
まずは何と言ってもお約束の「先代潰し」だ。新型のよさを強調するには、先代がいかにダメだったかを掘り返すのがもっとも効果的。何しろその時点ではもはや過去の商品、そこそこのことを書いても許されるし、その分新型を誉めちぎるんだから問題なしと。
今回はこの”手法”がことさら多い。あるB5判誌での評論家氏は「加速とエンジン回転が合ってなかった」「燃費はよいがシャシーがプアだった」「トヨタのFF車の欠点は乗り心地の質感」「プリウスの欠点として指摘されてきたブレーキフィール」と、たったひとつの記事で4点もの潰しネタを披露している。
評論家による「正直に言えば」なんて表現は、読者=ユーザーを大きく裏切り、バカにしたものなんだけど、果たしてそういう自覚があるのか否か。いや、もしかしたら、それこそが自分の仕事だと信じているのかもしれないけれど。
で、絶賛の要であるTNGA。そのポテンシャルはともかく、ことプリウスについては疑問もある。
相当な低重心が走りの質を大きく向上させたという話なんだけど、じゃあその向上とやらは他メーカーの同クラス車をブッチ切るようなものなのか。もう日本車のレベルをドーンと底上げしちゃったのだろうか。
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たとえば、トヨタが「ベンチマークはゴルフ」としたことを受けた比較記事では、燃費は圧倒、でも堅牢なボディと走りの質感はあと一歩なんて記事もあったりする。え、こっちの方が新しいのに追いついてない?じゃあ、一連の絶賛記事はいったい?と思うわけである。
そもそも低重心ってそんなにスゴイのかというあたりも疑問だ。もちろん、高いより低い方が有利な面があるのはわかるけど、技術が成熟したいま、それだけで走りのクオリティが決まるわけじゃないでしょう?
いや、実際そんなことはないんだろうけど、つまりは「これはTNGAだからスゴイ」「低重心だからいい」という単純なモノ言い、記事はいかがなものかと。誉めるのはいいけど、もっと冷静に落ち着いた方がいいんじゃないか。
ほら、大騒ぎのわりにほとんど変わっていないHVシステムなど動力性能、一部残したニッケル電池への突っ込みが足りない件はどうなんだと。
ま、今回はTNGAで走りがドーンとよくなったんだから、そこはほら、まあネエ・・・という姿勢は、先代までの「燃費がいいんだから、走りはホラねえ」というのと同じ発想じゃないか。もう言ってるそばから、性懲りもなくまたまた同じことを繰り返してるんじゃ?
あ、ちなみにスタイリングについての記事はあの「顔」が話題の中心だけど、個人的には今回のスタイルの問題は顔じゃなく、ボディ全体の話だと思うんだけど。
(16/02/28 すぎもとたかよし)
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