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三菱やトヨタのリコール問題ではほとんど無風状態だった日本の自動車メディアだけど、やっぱり海の向こうの話は扱いやすいのか、それなりの反応を示しているみたいだ。
ただ、たとえば各誌に執筆するジャーナリストがどこも同じだったり、あるいは真相の追求前から早くもVWの擁護に走る人もいたりする。
中には「VWは有罪だけど、東京モーターショー・ブースで心ない言葉を浴びせるのは止めてほしい」などと、いささか頓珍漢で大きなお世話を書く評論家もいた。
さらに、雑誌『ベストカー』の国沢氏コラムでは、この件についての氏への批判なんてものが明かされ、ついでにVWの問題とは何の関係もない業界の暴露話まで登場。これまた日本の自動車評論界の現状を示していたりする。
けれども、日本の自動車メディアがVW問題にユルいかどうかの判断はまだ早く、たぶん今後の対応如何じゃないかと。事件の第一報に対する反応の後、じゃあこれからどうするのか?
事実確認をはじめ追いかけ方は様々だろうけど、個人的にはクルマの排ガス規制や基準、検査、あるいは燃料自体について考えなくてはいけないんじゃないかと感じている。
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そもそも、今回の不正はクルマの排ガス試験の難しさ、複雑さが背景にある。もちろん、試験は一定の基準で行うわけだけど、たとえばNOxにしても、実際にはわずかな使用環境の変化で排出量も変わるわけで、どこが真実なのかが実にわかりにくい。
それはガソリンエンジンのCO2も同じこと。ウソかホントか、誰もが危機を口にする地球温暖化を考えるなら、むしろいま世界中を走るガソリン車の方がよっぽど問題の筈だけど、そこも基本は曖昧なままだ。
また、排ガス規制じゃないけれど、身近な燃費試験だって話は同じだろう。たとえば、JC08モードが実態に即していないのは誰もが知っているけど、まあ違法でもなく曖昧のまま放置状態だ。
さらに、エコカーの代表であるEVだって、普及後の大規模な充電環境を考えれば、本来エネルギー政策自体にも目を向けなくてはいけないし、大量生成には多くの電力が必要だという水素もまた。
ま、この辺は「いや、まあだってソコはさあ・・・」なんて範疇の話だったかと。事実だけど、ツッコまないし、あえて深く考えないというのがお約束という。
けれども、そこに落とし穴が隠れていたというのが今般のポイントだ。そうであれば、今後は一切の"お約束"はナシとするのが自動車ジャーナリズムの前提になるんじゃないかと思うんである。
(15/11/12 すぎもとたかよし)
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