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コラム&レビュー

クルマのまわりで:東京ショー散策「マツダ・RX-VISION」

 
 ある意味、とても純粋なところにいるんだろうなと思う。


 長いノーズは事前公開画像でのイメージとおりで、同時にパンと張ったショルダーラインの大きな流れもそのまま。ただ、とくにボンネットなどには予想よりも強い抑揚があって、単にコスモスポーツの21世紀版といった単調な回答がじゃなさそうだ。

 いずれにしてもKOERUまでとは違って、SHINARIに準じた造形じゃない。じゃあ、これが魂動デザインの新しい試みかというと、そこもあまりピンとこない感じで。

 マツダとしては、新世代ロータリーで「将来こんなのが出来ればいいなあ」といった文字通りビジョンを示したらしいので、実はそれ以上大きな意図はそもそもないのかも。

 
 ありていに言って新しさは特段見えず、古いと表現してもいいかもしれない。古典的ロングノーズ・ ショートデッキのスポーツ。低さはロータリーの証かもしれないけど、長さに意味はなさそうだし。

 何ていうか、それよりもどうせビジョンだったら「とにかく美しく」ということなんだと思う。いまのマツダデザインの高い意識と、同じくレベルの高いモデラーの技術を如何なく発揮して、理屈抜きに美しいものを造ろうと。

 僕は、それはそれで展示車として成立し得る話だと思う。少なくともいまそんなことをやるメーカーは他にないし、それだけ純粋なところで仕事ができているのかと。

 けれども、そうであってもそんな美しさの中に、やっぱり新しい提案を見てみたかったというのが本音かもしれない。もちろん、えらく贅沢な希望ではあるんだけど。

(15/11/04 すぎもとたかよし)

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