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何かこう、ちょっともったいないなあと思うんである。
ホンダ車の純正アクセサリーパーツなどを扱うホンダアクセスが「体験試乗会」を開催したそうで、いまメディアで取り上げられている。メニューは話題のS660の他、N-BOX、N-ONE、ジェイドについて、同社ブランドであるモデューロ名のカスタマイズカーを用意した。
試乗会というからには走りのカスタマイズが話の肝で、専用のエアロパーツにホイール、サスペンションやブレーキを取り付けたスポーティ方向の催しだ。ホンダ車には幅広いアフターパーツ市場があるけれど、さすが純正用品は色々な意味で完成度が違うだろうという。
ただ、仮に完成度が巷のパーツ屋と違うとしても、エアロだの足回りだの、やっていること自体はある種お約束の範囲内ではある。これまた若干様子が違うとはいえ、トヨタのGAZOOや日産のニスモの各商品とも同様の方向で、違いは「どこまでやるか」なんである。
これ、ちょっと面白味に欠けるかな、なんて。
ホンダアクセスといえば、今年のキャンピングカーショーに出品していた「N-ONEナチュラルコンセプト」が個人的にとても印象的だった。名前のとおり、木材など自然素材を多用した内装と、その印象でまとめた艶消しのボディカラーのマッチングがよく、単にオプションパーツを総付けしたのとはまったく違う世界観を出していたと思う。
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どうしてそっち方面の商品開発を展開しないかなあ、と思うんである。
いや、べつに自然派指向に限定する話じゃなくて、カスタマイズをもっと幅広い視点でとらえれば、より様々な方向の提案ができるんじゃないかと。それが同コンセプトのような普遍的なテーマあれ、あるいは和モダンや北欧テイストのような地域デザインであれ、さらには著名デザイナーへの依頼であれ、たぶんテーマは何でもいい。
期待したいのは、ちょっとしたパーツの飾付けレベルじゃなく、内外装全般に渡っての徹底したカスタマイズだ。それがメーカー純正の高いセンスとクオリティでまとまるとなれば、相当面白い商品になり得る。
もちろん、それがどれだけ売れるのかは価格面も含めた検討が必要だけど、そもそも走りのモデューロ方向だってそれほどまとまって売れるわけじゃない。ほら、G'sやニスモにしたって絶対数は大した数字じゃないしね。
だったら、より幅広く自由な発想のカスタマイズの方が、販売的にも実は大きなチャンスがあるような気がするし、商品自体の質がよければ国産車の可能性を広げることもできるかもしれない。
あ、それこそデザイナーの実力が試されるとも言えるんだけど、ナチュラルコンセプトを見る限り、ホンダアクセスにはいいデザイナーが揃っているんじゃないかと思うんである。
(15/08/18 すぎもとたかよし)
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