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コラム&レビュー

クルマのまわりで:ジュネーヴショー・日本車概観

 
 では、あくまでも写真を見てでの範囲ですが・・・。

 レクサスLF-SAは、同ブランド最小クラスの提案。高級ブランドとして歴史のないレクサスは「攻めるしかない」という開発者談を聞いたことがあるけど、いくらコンセプトカーとはいえ、ここまでやらないとレクサスの新型車を表現できないとしたら若干気の毒でもある。


 欧州スタジオによるデザインからは、それでも一定の造形のテーマが読めるけれど、とにかく要素が多すぎて気持ちが悪い。

 実際にはアウディA1などBセグメントを想定しているのでは?という話がある。レクサスのコンパクトは興味深いけれど、これがそのまま出なければいいなとは思う。

 同様にインフィニティのQX30も怒濤のエモーショナル路線だ。そりゃ全車同じイメージにしたいのはわかるけれど、B・Cセグサイズにこのバカげた深さのキャラクターラインはあまりに強すぎる。いや、市販車ではもっと弱くするからいいっていうんじゃ本末転倒だし。


 これもレクサスと同じでとにかく要素が多過ぎる。なんでこんな小さなボディに何でもかんでも詰め込むんだろう?一方でQ60はサイズがある分、過剰なゴチャつきは感じないけれど、本当にこのテーマでいいのか?

 日産スウェイもコンパクトの提案で、一部には次期ノートとの報道も。V字シェイプな顔を持ったボディは、強調されたフロントフェンダーから流れるラインや、フローティング風ルーフなど、すでに公開されたスポーツコンセプトやムラーノに結実したレゾナンスと同じ方向だ。


 長い歴史を誇る日産が、こうして流行から若干遅れ気味にエモーショナル路線に突っ走る理由がどうも理解できないんだけど、まあ、やるんだったらちゃんと量産型に反映してほしいとは思う。現行マーチとかノートとか、ああいういい加減なことをやらずに、全車でこういうクオリティ感を出してみてはと。

 スズキはまた別の意味で不思議な提案だ。どこから見てもアルトと同じ和田氏の作であろうiM-4が、歴代のスズキ車の要素を取り入れつつも普遍性を感じる新たなコンパクトSUVを提示しているのに対し、次期スイフトなどと言われているiK-2の、あまりに緩くとらえどころのないデザインは一体どうしたことだろう。

iM-4
iK-2


 
 そもそも、スズキが今回なぜ和田氏を起用したのかは?だけど、その才能を採り入れたからには、その他のデザインとの関係には的確なコントロールが必要な筈だ。いくらスズキが「なんでもあり」を特徴にしているとはいえ、同時出品としてこれはいかがなものかと。

 ホンダは量産型のNSXがいよいよ欧州でお披露目だ。なんだけど、これ、そんなにいいかな?僕はコンセプト段階からどうもピンと来なくて、フロントはありがちだし、サイドは浮いたCピラーしか目に入らないし、リアはボテっとしてるし。


 実は、そんなこんながコンセプトを重ねるうちに大きく変化するものかと思っていたんだけど、ほとんどそのまま出てきちゃう感じだ。まあ、デザインも含めて北米主導の開発らしいから、これが先方の「好み」と言われればそれまでだけど。

 三菱コンセプトXR-IIは、東京ショーのテーマをさらに進めたんだろうけど、いよいよスゴイことになってきた感じだ。現行フォルティスやD:5などがまとめて出たときにはデザイン力の深さを見せたものの、コンセプトカーは少々悪のりっぽい。


 いや、もちろんこれが本当に次期パジェロとして出るんだよ、レンジローバーなんか目じゃないよ、っていうならそれはそれでチャレンジングだけど

 ところで、今年の欧州イヤーカーはVWのパサートだった。最近の一貫した横基調ぶりは心配になるほどだけど、しかし仕上げのよさを含めた提案は巧いところで、何をしたいのかが明快だ。

 日本勢ではマツダがデミオや、よりバランスのいいCX-3が好評だったと聞くけれど、勢い余った妙な提案でなく、サクッとメーカーの姿勢を明快に出せればいいのに、なんて思うんである。

(15/03/22 すぎもとたかよし)

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