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ホンダというメーカーはとにかく尖っているのが身上の筈だと思っていた。それはシビックのように徹底した合理的実用車だったり、あるいはNSXみたいなスーパーカーだったり、とにかく普通じゃないんですよ、ウチは、というメーカーだったのだと。
いまや右も左もミニバンだらけだけど、その火付け役になったオデッセイが出現したときには、ああこれもまたホンダのサプライズなんだなあ、と素直に思えたんである。
でもねえ、いつの頃からかその尖がりに?マークが付くようになってきたんだよなあ。何でだろう? そのオデッセイやステップワゴンみたいな爆発的ヒット作で、数を売ることに目が向いちゃったってことなのかなあ?
それが巷でささやかれる「ホンダのトヨタ化」ってやつだと思うんだけど、まさにこのゼストがそうなんだよね。つまり、ライフっていう軽としては随分と評価の高いクルマがあって、それはそれで結構売れているんだけど、どうもそれじゃあ気が済まなくてカッコ違いの着せ替え兄弟車を作っちゃう。これってトヨタのやり方そのものじゃないか。そうそう、ザッツなんていうのもあるしね。
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だいたいライフが女性向き、なんていう発想が信じられないくらい低次元だし、このちょっとワルの入ったゼストは男性向き、っていうのも悲しいくらい恥ずかしい神経だと思う。日産ならマーチが女性向けでノートは男性向けっていうのと同じ話だよね。いや、黒いランドセルは男の子、赤いのは女の子、と同じでしょ。もう21世紀だっていうのに、いつまでこんな感覚で商売してるんだろう。
トヨタのbBにも通じる、このカスタム入った超ステレオタイプの男向け商品が、あのホンダのクルマかと思うと情けないと僕は思う。宗一郎さんが泣いているかどうかはわからないけど、僕は泣きたいくらい下らない商品だと思う。ま、あとは「意外と見切りが良くて年配者にもいい」とか、「ライフはちょっと、という男性にうってつけ」なんていうインプレッションが、プロの評論家の口から出ないことを祈るばかり、かな。
(06/05/17 すぎもとたかよし)
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