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何だか、とてももったいないことになっている。いや、もちろん気配はあった。
昨年デビューした2代目コペンは、12年ぶりという「いよいよ感」と、着せかえコンセプトという新たな武器によって、それなりに華々しいものだった。新しいボディ構造による走行性能の底上げは、走り好きの評論家筋の受けも相当よかったし。
けれども、そもそも「何でこのスタイル?」なローブの懸念と、同時発表の第3のモデルこと丸目バージョンへの話題の拡散もあってか、どうも話題が途切れがちなんである。
そんな中、昨年末の新型軽自動車ラッシュに乗って登場した第2のモデルは、やっぱりというか案の定というか、アルトやN-BOX SLASHなどライバル勢に比べて実に地味な扱いで、雑誌メディアでは割かれるページ数もごくわずかに止まった感じだ。
個人的には、このエクスプレイの原型である東京ショー出品のD-Xは、コペン後継云々は別として、相当まとまりのいい出来だと思っていたんである。全体のプロポーションはもちろん、バギー風の佇まいや素材感を巧く取り込んだスタイルは、精悍な前後の表情も含めて企画意図が実に明快に表れていた。
そういう意味で、コペンとは関係のない新しい軽の提案でもよかった筈のD-Xは、基本的にショーカーのイメージは残したものの、コペン第2のモデルという位置づけでもって、そのインパクトの何分の一かを失ったように見える。
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しかもだ、Jカルチャーだか何だか知らないけれど、秋葉原を発表の場所に選び、美少女キャラクターを設定してのイメージ作りは一体何ごとだろう。これもコペンのテーマである「ラブ・ローカル」の一環とは言うけれど、この安直かつAKBな発想でD-Xの魅力はさらに削り取られてしまった。
加えて、オートサロンでも特別な壇上に置かれた先の第3のモデルは、並べられた多くのカスタマイズ提案を霞ませるには十分な効果があったようで、なおさら第2のモデルは置いて行かれた感じだ。
いや、もちろんドレスフォーメーションの本番はこれからだというのは理解している。この着せかえは、企画やデザイナーによっては大ブレイクなり名車登場の可能性だってある。
けれども、僕にはこのコペンの成功っていうのはどこにあるのかがよくわからなくなっている。
ローブはまあまあ、エクスプレイはイマイチ、丸目は結構好評、でいいのか。あるいは次々登場するであろう着せかえが、それぞれの好みで少しずつ売れればいいのか。それとも、ドカンとスマッシュヒットの着せかえを期待することなのか。
いやいや、そんなのダイハツはしっかり展開を想定しているわい、なんて怒られそうだし、新しい提案なのだから、その過程や結果が想定できないのは当然だ。だから、いま何らかの結果のようなものを語るのはナンセンスだろうとも思う。
それでも、新しいコペンはローブでのデザインやエクスプレイの性格付け、急ごしらえの丸目ヴァージョンと、少なくともスタートはチグハグになっているように思える。
とりあえずは、エクスプレイがアニメでAKBな世界に止まらないことを祈るばかりなんである。
(15/02/26 すぎもとたかよし)
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