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コラム&レビュー
■新車心象風景:三菱・i(アイ)
■三菱・i(アイ)■
 (2006年1月25日発売)

◆主要諸元
 最大出力:64PS/6000rpm 9.6kg-m/3000rpm
 外寸(mm):全長×全幅×全高=3395×1475×1600
 標準価格:122万円(税別)〜

 多少のリファインはあったものの、ほどんどコンセプトカーそのままの姿で世に出たアイが大評判である。ちょっと価格がねぇ、という声もあったけれど、全車ターボエンジンと考えれば妥当だと言えるし、シャシーから全て新設計だと思えば、巨大三菱グループだからこそこの価格で収まったとも言えるでしょう。
 僕も近所のディーラーで試乗したけれど、スタイリングやパッケージングは元より、乗り心地も含めて、まあとにかく大したもんだと思った。
 でも、それじゃあ、アイが自分の愛車候補になるかというと、そうはならない。なぜなら、アイは軽自動車だからである。

2台目だったら?
 まあ、いつもの話で恐縮だけど、どんなに軽自動車が良くなったといっても、660tというキャパシティによる高速巡航の騒音や振動と、とりわけターボ車の燃費にはどうにも納得ができないからだ。
 いや、僕はいまの軽自動車全てを否定するつもりなんてない。たとえば、地方で車を運転すれば、圧倒的な軽自動車の普及には驚くばかりだし、逆に、都心での細い路地にも小さなボディは強い見方になるだろう。それに、よりパーソナルな使い方を提案したスバルの「R1」みたいなアプローチも面白い。ただし、それはあくまでもセカンドカー的な使い方という前提の話で、1台所有が宿命の人間にとっては話が全く別になってくる。



これは悪循環だ!
 そう、以前のように、軽自動車がその成り立ちからすでにセカンドカーにしかなり得ない存在だったら「仕方がない」で済んだわけだ。けれども、アイのように兄貴分のコルトより長いホイールベースを得て、サイズからは考えられないような居住スペースを売り物にするなら、これはもうファーストカーを想定しているわけだし、実際スペース的にそれは可能なんである。ところが、じゃあオールマイティに使えるのかと言えば先のように660tが「足かせ」になってしまう。これはもう悪循環としか言いようがないんである。
 ま、モーターショウなどで軽の開発者に話を聞くと「軽はいまの規格で十分行けます」なんてことを言うのだけど、だったら、リッター10qそこそこの実燃費は一体何なのかと聞きたいし、高速走行で4000回転にもさせるなよ、と言いたい。

 そうそう、海外に輸出されている一部の軽と同じく、アイも1000t程度のエンジンを積んで輸出するなんてウワサも聞く。それが本当なら、なぜ原産国のユーザーがその恩恵にあずかれないのか、ずいぶんと不思議な話だと僕は思う。



(06/04/24 すぎもとたかよし)

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