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この夏、ついに日本でレクサスブランドが立ち上がった。
日産がインフィニティ、ホンダがアキュラブランドの国内投入を見送る中で、ケタ違いの体力を持つトヨタだからこそ成せる技ということなんだろう。ま、その是非はともかく、「特別のおもてなし」を標榜するレクサスディーラーに対する、いくつかの雑誌の特集にはいささか呆れてしまったんである。
■相手にしてくれる?
自動車雑誌を読まれる方ならすでのご存じかと思うけど、d誌、B誌、N誌等々、どれもこれも同じで、編集部員がディーラーに隠密潜入し「果たして自分達はおもてなしを受けられるか?」「ちゃんと相手にしてもらえるのか?」という疑問について体験レポートを試みようというアレだ。中にはわざと普段着で行ったりとか、軽自動車で乗りつけてみるとか、妙な小細工をして「潜入」している雑誌もあったりした。で、あえて聞きたい。
「恥ずかしくないのか、あなた方は?」
相手にされるのかとか、軽自動車を使ってみるとか、そういう自らを卑下した発想そのものにもどうしようもない悲しさを感じてしまうけれど、僕が情けないと思うのはそれだけじゃない。
自動車雑誌と自動車、つまりメーカーとの関係が切っても切り離せないのと同様に、自動車ディーラーとだって強い関係で結ばれている筈じゃないか。実際販売台数だの値引き状況だの、ディーラーに関わる記事はなくてはならないものになっているんである。
「だったら、なぜ正面からまともに取材をしないのか?」
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■探検ごっこ?
どんな「もてなし」なのか? 客を選ぶのか? 営業マンはトヨタとどう違うのか? たしかにそういう疑問は山ほどあるんだろう。だったら、自動車メディアとしてキッチリ聞いてくればいいじゃないか。なんでコソコソ身分を隠して潜入レポートにしなくちゃいけないのか。まさか恥ずかしくてできないとでも言うのか。
何て言えばいいんだろう。身内でゴチャゴチャ噂して、「じゃ、オマエ行ってみろよ」「よーし、じゃ潜入開始だ!」なんて、まるで子供の探検ごっこみたいなこの姿勢。同じ自動車関係業界にいながら、全く同じ土俵に上がろうとしない幼さ。これが何ともイヤーな感じで、とにかく気色悪い。
そんなやり方で「あそこの対応は良くない」だの「期待していたほどではない」だの、よくも偉そうに書けるものだと思う。卑劣とまでは言わないけど、まあ卑怯には間違いないだろうし、少なくともプロの編集者のやることじゃない。日頃からディーラーマンの実力調査などを行っている一部の雑誌はともかく、こういうときだけしゃしゃり出る神経がいただけない。
僕は、彼らがそれを自分達の仕事だと思っているのが実に情けないと感じてしまうのである。
(05/11/07 すぎもとたかよし)
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