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面白い状況だと思う。
いや、話としては三菱の件なんだけど、これだけ連日連夜TVのニュースでトップを飾り、いまや小学生からお年寄りまで日本全国「三菱サイテー」の大合唱状態になりつつあるとき、最も身近な媒体である筈の自動車雑誌が、最も静寂を決め込んでいるんである。
■リコールなんてつまらない?
僕が知る限りでは、最近しっかり「三菱」を打ち出した雑誌は2誌しかないのだけど、しかし、それも中身ときたらどうもピントがずれている。
例えば先月号のJ's Tipoは「復活」をキーワードに三菱を含めた過去の名車を振り返るという企画で、要するに三菱にも色々と名作があったんだから、それを思い出して頑張ってくれという内容なんである。他に2名ほどの自動車評論家に三菱を語ってもらうという小さな囲み記事があったけど、これも企業風土を変えるべきとか、三菱らしいクルマ作りを考えるべきとか、まあ要するに抽象的なエールを送るような記事ばっかりということだ。
でも、それっておかしいんじゃない?
なぜ?だって自動車の専門誌である筈なのに、リコールそれ自体に全く踏み込んでいないじゃないか。
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■問題の見送り
一体どんなリコールだったのか、なぜ不具合が発生したのか、隠蔽の構造はどうなっていたのか、届け出制度に問題はないのか等々、TVのニュースとは違う、専門誌ならではの情報や考えがあって然るべき。最悪、ひとつのメーカーが日本から消えようかというこの大不祥事そのものを、その専門誌が取り上げないなんて、僕には到底理解できない。それをスッ飛ばして「ガンバレ三菱」が自動車メディアのやることか?普通に考えれば、雑誌一冊この問題の特集を組むくらいでも不思議じゃないだろうに。
そういえば、三菱の再建計画記者会見の際、バックのスクリーンには次期ランエボや次期パジェロらしきクルマの映像が映し出されたそうで、このCGをそのまま誌面に載せて「次期ランエボの正体を推測する!」なんて雑誌も売られているみたいだ。最近発表されたスバル・インプレッサの改良版を徹底試乗して「ランエボと比較したい!」なんてことをやっている雑誌もある。何をか言わん。本当に末期症状なんである。
(04/06/25 すぎもとたかよし)
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