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当面はムーヴコンテみたに、いまひとつ元気のない車種を救って行くような感じだけど、イースをOEM販売なんて不穏なウワサもあったりする。
まあ、年間6万台なんて計画も、「売ってくれ」と頼まれれば「もうありません」とは言えないので、どっちにしても本格販売は目前なんである。
いまや新車販売の3台に1台が軽自動車、その美味しい市場を放っておくわけには行かないという理由は、新聞の経済面を読む消費者にとっては十分納得できるものだし。
けれども、何で放っておけないの? とクルマ好きとしては思う。
いや、すでにパッソなど一部小型車の生産委託もしくはOEMの関係はあるけれど、どうして軽だけはダイハツに任せるってことができないのかと。
だって、傘下のメーカーが軽ナンバーワンのスズキを追い抜くような活躍をしてくれれば、親会社としては普通嬉しい限りなんじゃないの? グループも安泰っていうか。
そうじゃなく、軽が売れるとなれば子会社だってライバルだ!っていうのは、そりゃあ気持ちは分かるとしても、やっぱり世界一にならんとするメーカーとしてはいかがなものかと。
だいたい、トヨタはダイハツの軽をすでにスバルにも供給させているわけで、その小さな市場すら自分で奪ってどうするって話だ。まさか、車種が違うから大丈夫なんて思ってないでしょう。
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こういう発想は、単に節操がないなんて話で終わるんじゃなくて、結局はクルマ作りとつながっているところが僕には残念なんである。
いや、トヨタがダイハツの軽を売るっていうのは、たとえばBMWがミニを売るっていうのと基本的には同じ話でしょ。グループ内、あるいは子会社にとても好評の商品がある。じゃあ、そのクルマを自分のところでも売ってしまえっていう意味で。ま、ポルシェがアウディA1を売るのでもいいけど。
バカな、BMWやミニとトヨタ・ダイハツを一緒にするなよ、という声が聞こえて来そうだけど、まさにそこが問題なところだ。
たしかに、BMWはミニを「0.5シリーズ」で売ったりはしない。それは何のためにそのメーカー(ブランド)を傘下にしたのかを正しく理解し、中長期的視点に立った経営をしているからだ。まあ、当たり前のことを当たり前に進めているだけ、とも言えるけど。
ところが、トヨタはいきなりFT-86を作っちゃう。親会社として、水平対向という独自技術をウリに、スバルが世界的に繁栄するのを全面支援する前に、まずは自分とこのバッチでその“虎の子”を使ってしまえという抑制のなさ。
この姿勢の違いがメーカーとして「一緒にするな」と言われる理由になるのだし、もちろん商品企画、そしてプロダクトとしての商品にも大きな差を生んでしまう。ついでに言えば、同じ軽のOEM販売を始めるにしても、だから日産のそれとは話が違うんである。
まあ、“ハチロク”はそもそもどこの誰に売るのかもわからないんだけれど、子会社の軽にまで手を付けるトヨタ、一体どこに向かっているんだろうか?
(11/10/24 すぎもとたかよし)
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