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コラム&レビュー

クルマのまわりで:モーターショー目白押し(その3)

 
 ヒット作ティーダの2代目も、予想とおり最近の日産車に倣ったエモーショナル路線?となった。


 なんだかデミオを前後に引っ張ったようなボディは、フロントフェンダーの抑揚や、リアから緩やかに下るキャラクターラインが特徴だけど、それが鼻につくようなことはなくて、パッと見は意外におとなしいイメージだ。

それでも、水平基調の端正な初代から「なぜ」デミオ方向にしたのか、少なくとも造形上からその理由は読みとれない。もちろん、今度は初代以上にグローバルカーとしての任を負っているんだろうけど、それが理由なのかも不明なんである。

 それは、こうした曲線や面を使うことで、とくに新しい独自性を築いているわけじゃないからだ。僕の目には、「初代のイメージを随所に残しつついまどきの線を引いていたら、何となくこう落ち着いた」としか見えない。少なくとも、プジョーっぽいと揶揄されつつも、脱サニーとして独自の存在感を出した初代の明快さはない。

 それはインテリアも同じで、日産がモダンデザインを標榜していた当時の初代は、ティアナ同様木目パネルの独特な使い方など、その狙いがはっきりしていた。けれども、新型のそれはいまどきどこにである造形で、日産らしさもティーダらしさも特段に感じない。


 
 ただ、そうは言っても、ラティオ後継と目されるヴァーサセダンの酷さよりはいいんだよね。広州でサニーとして発表されたこれは、いまの日産のエモーショナル路線が実に残念な結果になってしまった例なんである。


 そりゃあ、中国で大ヒットの現行ティアナの弟版が欲しいとか、そういう都合もあるんだろうけど、それにしても酷い。現行ラティオの寸詰まり感を嫌う人もいるけれど、じゃあこれが伸びやかでいい、なんて思えないし。まあ、デザイン本を書くような「まとめ役」がいてこうなったんだから、きっと深遠な理由があるんだろうけど。

 一方で、上海に出展された合弁会社によるヴェヌーシアなんかを見ると、プラットホームとかパワートレインとか、あるいはそもそもの車格の違いとかはともかく、こっちの方がラティオでいいんじゃない?なんて思ったりする。


 いや、同じメーカーで、同時にこれほど違うモデルを出すほどグローバルカーっていうのは難しい、ってことなのかもしれないけれど。

(11/05/03 すぎもとたかよし)

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