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コラム&レビュー

クルマのまわりで:ジュネーブショー散策(その3)

 
 イタルデザインは、傘下となったVWグループの一角で、しっかりVWのバッチをつけた2台の出品。次期シロッコ?なクーペと、スペース系コンパクトの提案だ。

 ま、FFジェミニなんてクルマに乗っていることからもお分かりのとおり、小さな実用車好みの僕として気になるのは、後者の「GO!」なんである。


 一連の「UP!」シリーズはイタルが手掛けているとの話だったので、もしかしてこれはその進化版?とも思うけれど、それにしてはボディがポロ並にデカいなと。

 ただ、欧州のトラムを連想させるリア周りはUP!っぽいし、2700ミリっていう長いホイールベースは新世代プラットホームだっていうし、EVも想定しているらしいなど、一体どうなんでしょう?

 360°ボディ全体のプロポーションで勝負なまとめ方はさすがイタル、というかカロッツェリアの仕事っぽい。ここ数年、どうでもいい表面的なラインを流行らせた多くのハウスデザインとは違うところだ。その上で、コンセプトカーらしい装飾を施すのも巧い。


 
 ただ、近作ならプントやセディチのような、圧倒的なバランスと簡潔感がイマイチな、ちょっとしたキレのなさ、たとえばリアドアガラスとそれに並行するプレスドアラインの複雑さなんか、が気になったりする。

 その辺は、数年前のダイハツのコンセプトカーにも似ていて、もしかして息子さん?なんて思ったりするけれど。

 ある雑誌記事によると、今後イタルはVWグループ内の仕事しかしないそう。これは買収後にいちばん気になっていたことなので個人的に残念だし、これまでの数々の名作を考えれば、世界の自動車産業にとっても大変な損失なんじゃないかな。

 そりゃあ、経営に行き詰まって倒れてしまうよりはいいんだけど、ちょっとVW、肝っ玉が小さいゾとは思う。

 ま、ジウジアーロファンとしては、買いやすいドイツ車のデザインに期待ができるのは歓迎だし、セアトあたりを個人輸入、なんて妄想ができるのは面白いんだけど。

 それでも、イタリアや日本ではもう出ないというのはやっぱり寂しい。とりあえず、その雑誌記事が間違いであることを祈ろうかな。

(11/03/07 すぎもとたかよし)

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