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コラム&レビュー

新車心象風景:レクサス・CT200h

 
 新しいレクサスの心象は、ふたつだ。


 まずひとつは、スタイリングを含めたパッケージ。これ、パッと見て結構多くの人が「あ、レクサスのBMW1シリーズね」なんて感じるんじゃないだろうか。で、ほとんど同時に感じるのは、それが“想定内”ってことじゃないかと。

 つまり、ISの下にHSを置いて、じゃあ今度はプレミアムコンパクトという時に、まあレクサスならきっと小さなISみたいな感じなんだろうな、そもそもISが3シリーズっぽいんだから、当然今度は1なんだろうなという。

 けれども、たとえばメルセデスがワンモーションのAクラス、アウディがFFハッチバック王道のA3を、あるいはBMWがミニでロングキャビンのクロスオーバーをと、一口にプレミアムコンパクトと言っても展開はいろいろなんである。

 だから、レクサスがFFでCTを作るのに、何もBMW風のFRちっくなスタイルやパッケージにこだわる必要はないし、しかもその名前がクリエイティブ・ツーリングの略だっていうんだから、なおさら新しい展開を考えてもよかったんじゃないかな。

 まあ、HSも随分ぼんやりとして面白味がなかったけれど、HV専用とするならプリウスの高級版方向とか、FFならかつてのオーパのような超合理的方面とか、あるいはシトロエンのGSシリーズのようなオシャレ・アヴァンギャルド系とかね。

 そうは言っても、例の「L-フィネス」なんてフィロソフィもあるし、そこから外れたいきなりな展開は厳しんだ、ということなのかもしれない。けれども、それにしたってここまで予定調和的なまとめ方は、プレミアム後発組としてちょっと工夫がないし、もったいないなと思うんである。


 
 もうひとつはHVシステムについて。

 HSもそうであったように、CTもまた基本的にはプリウスと同等のシステムを使っている。で、このシステム自体の性能に不足があるのか否かはともかく、どうしてそこにはプレミアムな性能が付加されないんだろう、と思うんである。

 いや、アプローチはいろいろあって、たとえば単純に高額車っぽく大きなエンジンと高出力のモーターに換装するのもアリだろうし、そうじゃなくて、より高性能バッテリーへの変更や効率の見直しによって、出力、燃費とも劇的に向上させるのも面白い。

 だって、同じシステムを使って、車両形状やら重量などの影響でリッター4キロほど燃費が落ちているものを、しかし「このプレミアムコンパクトクラスではダントツの燃費性能」なんて宣伝するのはちょっと寂しいというか、ズルいというか。

 あ、パワーモードなどの制御設定やエンジンマウントを変更していたりするというけれど、そういうのじゃなくて、高級車のアイコンとしてもっと分かりやすい差異ね。

 レクサスとしてはいちばん安いとは言っても、何せベース車で350万円と絶対的には随分な値札を付けているんだから、やっぱり肝心の心臓は別物を持たせたい。プリウスに100万、150万円も上乗せなんだから、じゃあここはリッター50キロねっていう企画開発があってもいいじゃないか。

 もちろん、拡大傾向の新興国はともかく、自国だけじゃなくて、イマイチ評価の定まらない欧州なんかを意識すれば、コンサバ路線でもいいから、とにかく早いところラインナップを完成させてしまいたいという気持ちがあるのかもしれない。

 けれども僕は、逆にクルマ自体の発想を広げて、新しい時代のプレミアムカーを示した方が活路が見えてくると思う。トヨタがプレミアム後発組で、かつ実用HV車の先駆者であるなら、その点で幅広い、攻めの提案があって欲しいと思うんである。

(11/01/28 すぎもとたかよし)

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