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コラム&レビュー

新車心象風景:ホンダ・ライフ(マイナーチェンジ)

 
 イメージとしては女子をメインターゲットにしていたであろうライフだけど、それが存在感の薄さを招いたと判断したのか、随分と思い切った軌道修正なんである。


 それにしても、醜悪。ミニバンやワゴンタイプの軽で始まった、いわゆるカスタム系はいまやすっかり定番化しているけれど、癒し方面からいきなりこれはちょっと。

 ま、何しろ5ナンバーミニバンのトップを快走するセレナにしたって、あのハイウェイスターが人気だっていうんだから、とくかく売れるんでしょう、こういうのが。

 しかも、新しいライフのキャッチコピーは「いつも、カッコいい毎日を」だ。うーん、これがカッコいいって一体?

 先日、あるラジオ番組で著名な社会学者が言っていたんだけど、自民党の末期以降、どうでもいいような論争で空転する国会などの低次元な政治運営は、実は国民がそう望んでいるからこそなんだとか。

 会社内や街中、あるいは電車内など、パブリックスペースでここ数年感じる何とも言えないギスギスした雰囲気。チョットしたことで口論や暴力沙汰に発展してしまう余裕のない社会。

 マスコミ、とくに海老蔵を連日トップニュースにしてしまうTVなどの影響も大きいけれど、それをまんま受け入れ、白だ黒だと余裕のない社会を作る国民が、同じレベルの政治を無意識に期待してるって話だ。


 
 僕は政治に疎いのでその真偽は分からないけれど、政策を無視した政局報道が「辞める、辞めない」の単一指向を作り出し、街頭インタビューの国民側もまた同じレベルの感想を口にする悲しさは日々感じる。

 そして、そういうユーザーが期待するクルマがカスタム系ってことなのかと。僕にはメーカーとそのラインナップの質を低くし、街中の景色と路上の雰囲気を悪化させているとしか思えないんだけど。

 いや、べつにそっち系のユーザーが品のないエアロパーツボディを紫色に塗り、ヘッドランプをツリ目にして車内に青い照明を後付けするのはいいんだけど、大のメーカーがそれをやることはないでしょう。ヴォクシーなんて「煌(きらめき)」だよ。高架下の落書きじゃあるまいし。

 「ちょいワル」とか言って、ジローラモさんを雑誌の表紙にするくらいならまだしも、何でもかんでも悪いのがカッコいいなんて風潮を受け入れ、メーカーばかりか、オートサロンこそ日本らしいモーターショーなどと評論家が揃って口にするなんて、やっぱりどうかしてる。

 たびたび書くけれど、僕は女子向けなんて企画もバカげてると思うし、もちろん煌方面も同じだ。そんなファミレスみたいに何でもアリのラインナップを「選択肢が多いのはいいこと」と擁護する意見もあるけど、それは老若男女を問わない普遍的なクルマを作れないことの言い訳にしか僕には聞こえないんである。

 あ、そう言えば、もともと顔つきの悪いゼストとの住分けはどうするの、という疑問もあるけれど、それにしてもこの醜悪な顔のクルマの名前が「ライフ」とはね。

(10/12/12 すぎもとたかよし)

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