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バリエーション過多の話なんである。
4mを切る全長と5ナンバー幅に背高のワゴンボディを載せた合理的パッケージ。初代で評判だった内外装の作り込みの良さもそこそこ引き継げた。
何て良心的な商品なんでしょうと思いつつ、じゃあbBやルミオンにイストとポルテ、いやヴィッツやパッソも要らないじゃん、とツッコミたくなる。
まあ、そんなこと言っても実際ねェとお思いでしょうけど、でも、ほとんど同じクラスにやたらと商品を出すような節操のない会社のクルマなんて!というユーザーの発信はアリだと思う。取りあえず、この無駄なバリエーションのどこが「エコ」やねん、とか。
僕はずっと以前から、こういうオモチャ箱的な商品展開について文句を言ってきたけれど、10年20年と経ってみれば、実はいまだに同じことをやってるのは、軽を除けばもはやトヨタだけなんである。
それは裏を返せば、そんな余裕が他のメーカーにはなくなった、ということかもしれないけれど、結果的にそれはいい方向だと思う。
けれども、トヨタはそんなに甘くなかった。
そもそもがダイハツ製のパッソやbBは最初から両社で売っているし、グループとなったスバルにもbBを供給し、そしてこの新しいラクティスも続く。自社で無理なら、他社を使って兄弟姉妹車を展開しちゃう作戦だ。さらに、もうワケわからないくらい車種の多い軽をも、ついに自社ブランドでOEM販売しようって魂胆らしい。
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で、そのラクティス。エンジンやミッションも基本キャリーオーバーだし、なぜかアイドリングストップみたいな新機構もない。こりゃあんまり語ることないなとは思うけれど、明らかに違う、いや後退したのはエクステリアデザインだろう。
ブーメラン型のランプをうまく取り込んだフロントや、Aピラー下からサイドウインドウに沿ってキレイに流れていたキャラクターラインなど、先代のすっきり感を、件のデザイン・フィロソフィによって騒がしくしてしまったのは他の車種と一緒だ。
とくにフロントまわりの造形はもはや正確に把握できないし、リアは煩雑なのに加えて、ライバルのフィットそっくりにしちゃったのが正直と言うか、残念な感じだ。
作りの丁寧さはヴァーソとして欧州に投入するためなのかもしれないけど、せめてこのクラスはヴィッツと2台に集約すれば、後退したエクステリアも含めて、もっと力の入ったいい商品ができるだろうに、なんてね。
だって目立った新機構もないのに、なぜか1.3で140万円オーバーだよ。そんなんだったら開発費集約して、絶賛のポロを凌駕するようなコンパクトにチャレンジすればいいのに。
あ、ただディザーキャンペーンでチラ見せしている新型ヴィッツは、輪をかけて酷い姿になっているみたいだから、まずはそっちの問題の解決が先かも。
(10/11/29 すぎもとたかよし)
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