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GT-Rがフツーの実用車みたいに「マイナーチェンジ」っていうのが妙な感じだけど、でも、このクルマはそのくらい実用っぽい内容と価格を引っさげた、異色のスーパーカーということなのかと。
出力の大幅UPやら足周りの変更やら、機能的な更新もかなり多いけれど、個人的な興味としては「エゴイスト」の追加なんである。
まず、ベースグレード800万円からの高価格車として、ようやくこういう選択肢ができたかと。お値段というか、その存在からして、本来は最初から広いバリエーション設定を持つべきクラスだったと思うので。
もちろん、それでも相対的には超破格値だから、そんな設定をする余裕なんかなかったとは思うけれど、オプションとしてでも用意するべきだったとは思う。
けれども、エゴイストはそういうグレードだという割に、実はそれほど多くの選択肢じゃないのが残念なんである。だって内装が20種類とは言うけれど、実際には組み合わせが20通りということであって、色数としては黒を除くと8,9色しかないし、それも似たような色が結構ある。
やっぱり1500万円も取るんだったら、分厚いカラー見本からお好きなモノをどうぞ、と20色や30色は用意して欲しいし、シート、ステアリング、ドア内張り、フロアなんかもそれぞれ別個に選べるといい。もちろん、職人の手作業というのはいいんだけど。
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それと、ボディカラーは何でこんなに少ないんだろう? そりゃ、日本でこの手のクルマに興味を示す人は地味な色を選ぶ傾向はあるんだろうけど、高価格車は少数意見にも対応しなきゃ。たとえば、明るいイエローのGT-Rに乗りたいって人もいるだろうし。
そんなことしたら納車が2ヶ月も3ヶ月も延びちゃうよ、なんて言われそうだけど、いいんじゃないのかな、それで。じっくり待つから好きなパターンにしてねっていうユーザーはいるだろうし、個人的には高価格車じゃなくても、そういうシステムがあっていいと思うくらいなので。
ただ、それでも20通りの組み合わせの中に「これはイカン」というものがないのはよかったと思う。ほら、内装に凝るとなると日本車は昔からとんでもないことをやらかすでしょ。場末のスナックみたいなシートとか、コラボしたブランド名のでっかい刺繍とか。いや、実際最近出たレクサスのArt Worksシリーズなんて酷いことになってるし。
それにしてもGT-Rって、この値段で恐ろしいほどの性能を持っているのに、自国での結構な地味扱いが不思議な話なんである。海外の雑誌なんかじゃ「ポルシェに圧勝」「奇跡の存在」みたいな絶賛記事をよく見かけるのに。
たいてい、R32〜33が大好きなB5版雑誌は「もう僕らのクルマじゃない」「改造できなくてツマラナイ」な扱いだし、A4版の文化系はやっぱりポルシェ、フェラーリ、あるいはアウディなんかに行っちゃう。何だかその溝に落ちてしまっているような感じ。
僕は、メディアの“基本スポーティ車偏向”な流れは好きじゃないけれど、それにしても露出が少ないなあとは思う。仮にメーカーがそういう姿勢であっても、だから記事にしないっていうのは別の話だし。
少なくとも、久々の話題が「某B誌が取材拒否!」とかじゃ、あんまり寂しいし。あ、この話は後日別途書きますけど。
(10/11/01 すぎもとたかよし)
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