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八重洲ブックセンターで開催された、広瀬隆「原子炉時限爆弾」発刊記念講演会に行って来ました。
発生が確実と言われる東海・東南海沖地震を前に、昨年の駿河湾沖地震“程度”で停止してしまう設計の浜岡原発(静岡県)を稼動し続けることがいかに危険か、その時にいかに甚大な被害をもたらすかをまとめたものです。
え、何でクルマのブログで原発?って話ですが、そう、EVの話です。
地下資源枯渇が実際いつなのかは?だけど、とにかく脱ガソリンの早急な解決案として、もう今後はEVしかない、いまどきEVの話題を取り上げないのは時代錯誤も甚だしい、ということになってます。僕にはそれが正しいのか否か正直分からないんですが、でも、じゃあEVの燃料である電気はどうなんだ?って話がほとんどないことには違和感があります。
そのひとつが発電。プルサーマルの再開やら海外への売込みなど、とにかくこの国は原発推進なんですけど、本格的にEVを普及するに当たってはそういう前提でいいのかどうか。倒れないはずの高速道路が神戸で崩壊したのに似て、新潟の地震では柏崎発電所が相当やられたっていう方面の話もありますし、廃棄物受入の自治体が決まらないこととかも。
一方で、シャープやら三洋やら、世界に誇る技術を持ちながら、一向に太陽光発電が普及せずに世界市場ですっかり遅れをとったのは、ほとんどやる気がない国の施策が大きな原因らしいですけど、じゃあEVの普及に当たってはどうなんだと。
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それともうひとつ、僕ら消費者意識についての話もあります。
節電とかでエアコンは28度にしましょうとか、昼休みに消灯して暗い中で弁当食べたり、無人の廊下の照明を自動で消して“我が社はエコ企業”だとか、24時間営業のコンビには電気の無駄だから止めようとか、とにかく電気はできるだけ使わないのがエコであり省エネであり、大人から子供まで僕ら消費者が進んで実践するべき“善き事”になってますよね。
じゃあ、これからはEVこそ地球を守る存在だっていうのはどうなのかなと。いや、二酸化炭素排出なんて話もあるんでしょうけど、クルマが出す排出量は全体の数%なんてデータも一方ではありますし。そんな中、基本的には電気をバンバン使うって話なわけで、消費者の立場としちゃあもう完全に分裂した話なんですよね。
ときどき、実は夜間電気は余ってるので大丈夫、みたいな話を聞きますけど、それで間に合うの?という素朴な疑問もあります。だって、いま騒いでるEVの普及って、全国の自治体がカーシェアリングのために100台ずつ買いましょうとか、そういう次元じゃないんですよね。もう普通のユーザーが月に何万台・何十万台、近々にEVが主役にって話なんでしょう?
いや、何だかんだで実はその程度はOKっていう試算とかがあるのかもしれないですけど、クルマ業界、あるいはメディア的に「もうEVは当然」と言いつつ、じゃあ電気はどうする?っていう話が抜けているのが気持ち悪いってことなんです。そういう話を整理する前に、商品がどうのこうのっていうのがチョット。
この本の内容とは直接関係ないんですけど、講演を聞きながらそんなことをボンヤリ考えてしまいました。
(10/09/30 すぎもとたかよし)
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