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雑誌のインプレッション記事はどうもなあ、というのが自分の立ち位置だけど、たまにピタっと一致することもあって面白いんである。
今回は、オートカー・ジャパン7月号でのスズキ・キザシの記事がそれだ。
キザシについてはここでも「好ましい」と書いたけれど、この記事ではより好感度が高くて、スタイルは文句ないし、走りのフィーリングも含め、欧州に導入すればモンデオのよきライバルになり得ると結論付けるほど。僕が少々華が欲しいと書いたインテリアにも、クオリティ的にはOKを出しているし。
もちろん、この高評価の背景にはスイフトやSX4、あるいはスプラッシュという優秀な小型車を、短期間に輩出してきた実績があるからこそだとは思うけど。
ただし、この記事を読んでいない方のために付け加えるなら、これを書いたのは日本の評論家じゃなく本場英国の記者だというこで、これが複雑なところなんである。
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まあ、何たって自国の雑誌はごく一部を除いて実に素っ気なかったもんね。そもそも記事自体が少なかったし。たしかにメーカー自身が日本での販売に積極的じゃないのは間違いないけど、それと評価とは別の話の筈。受注生産だからってページを削ることもないし。
この手の合理的でプレーンなセダンが日本市場で受け入れられないことは常だと思う。もちろん、セダン不況も含めてね。それでも、コイツなら北米や欧州でガンガン行けるって書いてもよかったわけでしょ、ニッポンの実力車として。それを書かないのは、市場同様自分たちにもあんまり興味がないからか、と。
この記事では、ディーゼルがないこと、タイヤがオーバーサイズなことが欧州市場での不安要素とされていたけど、まあそんなもんだ。エンジンについてはVWとの提携というキッカケもあることだし、タイヤはあくまでも日本仕様の話。レクサスとかインフィニティ路線じゃなく、マツダ6みたいにごく普通に市場にとけ込んで行くのがこのクルマらしいかも。
それにしても、優秀な日本人アーティストやクリエイターが最初は海外から評価されるって話はよくあるけど、クルマも同じっていうのは残念な感じだ。何でそういうことになるんだろう? いや、日本のメディアにとっちゃあ、やっぱりキザシなんて大したクルマじゃないってことなのかな?
(10/06/15 すぎもとたかよし)
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