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■新車心象風景:マツダ・RX-8
■マツダ RX-8■
 (2003年4月9日発売)

◆主要諸元(Type S)
 最大出力:250PS/8500rpm・22.0kgm/5500rpm
 外寸(o):全長×全幅×全高=4435×1770×1340
 東京地区標準価格:275万円

 ホンダのS2000のときも、トヨタのアルテッツァのときもそうだったけど、この手のスポーティモデルのデビューに際しては、自動車メディアの騒ぎぶりときたら実に面白い。たいてい2、3ヶ月もすればウソのように熱が冷めてしまうのだけど、また何度でも繰り返すから不思議だ。

賛成ではあるけれど
 で、お題のRX-8、周囲の評判と同じく僕もなかなか面白いクルマだと思う。4ドアで4人乗りというコンセプトもいいけれど、とにかく他の何にも似ていないオリジナリティが一番感心するところなんである。これでアルファそっくりとか、フェラーリのパクリなんかだったりしたら一瞬で興ざめじゃないか。
 けれども、諸手を挙げてバンザイかというと実はそうでもない。いや、このクルマ自体に文句があるわけじゃなくて、ロータリーエンジンの今後、つまりはマツダの将来について一抹の不安が僕にはある。
 RX-8はマツダだけの財産であるロータリーエンジンの長所、即ち軽量・コンパクト、そして高回転型の特性を生かすことを中心に考えて生まれたと僕は認識している。エンジンという重量物をできるだけボディの中心に、そして低い位置に置くことでスポーツカーとして理想的な重量配分を実現するということ。でもそれって、いまはなきRX-7でもやっていたことなんじゃなかったっけ?

どこが違うの? 
 ロータリーの最大の泣き所は燃費の悪さ。軽量・コンパクトという大きな長所を持ちながら、一旦は第一線から姿を隠すことになったのは、結局大ガス喰いの辻褄を合わせるためにRX-7のようなハイパワー車に載せるしか選択肢がなくなってしまったからでしょう。「こんな速いクルマなんだから燃費悪いのは当然だよね・・・」っていう。
 今度のレネシスと呼ばれる新世代ロータリーは効率のアップが主眼だと言うけれど、実際は低出力版のMTでも10.15モードでリッター10qという平凡な数値でしかない。同門のアテンザは12q以上あるというのに、だ。そりゃあ以前のものよりは良くなっているんだろうけど、問題は絶対値だからね。

また消えるかも
 で、何が言いたいのかというと、そんなに軽量・コンパクトなら、本来はデミオのような小さいクルマにこそ載せるべきじゃないか、ということ。もし普通の直4よりもずっとコンパクトなら、それこそ画期的なパッケージングのコンパクトカーが誕生する筈でしょう。でも、実際はデミオには普通のレシプロエンジンが載っている。というのはつまり結局コンパクトカーには載せられないようなエンジンなんじゃないのか? といのが僕の持つ危惧だ。
 もし、210馬力を100馬力にデチューンしたら、いまや戦国時代の各社コンパクトカー軍団が誇る低燃費エンジンを凌ぐことができるのかと言えば、実際はそんなこと不可能な代物なんじゃないかということなんである。だとしたら、RX-7とともに消えたときと一体何が違うというのだろう? 何だかんだ言っても、結局はこういうスポーティカーに載せるしかないということ? RX-8の評判が良いと言ったって、このクルマは今後ずっと月5000台も6000台も売れるような性格のクルマじゃないでしょ。仮に今後RX-7が復活したって同じようなもんだろうし。でも、ロータリーをこのまま生き長らえさせたいなら、デミオみたいな多量販車に載せなくちゃ、また同じことの繰り返しになってしまうじゃないか。

 そこんところをマツダは、あるいはフォードはどう考えてるんだろう? 実はこのエンジンを量産する秘策があるんだろうか。それともそんなに作らなくても採算が合うんだろうか。アッという間に9000回転だ! なんて雑誌はハシャいでいるけれど、どうもそのあたりが僕にはシックリ来ないんである。

(03/05/12 すぎもとたかよし)

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