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コラム&レビュー

新車心象風景:日産・ムラーノ

 
 たとえば、V35スカイラインのクーペとか、トヨタのヴィッツとか。非常に明快なテーマを持ち、とても息の長そうなスタイルのクルマが、モデルチェンジでその明快さを失うことが稀にある。ムラーノもそういう気がする1台なんである。


 スカイラインやヴィッツがそうであるように、部分的には新しそうなラインや抑揚を手に入れるのだけど、カチっと決まっていたテーマが薄れてしまって、何となくボンヤリしたイメージが漂う。

 新しいムラーノも、未来ちっくなフロントグリル、巨大なホイールアーチフレア、いまどきっぽいショルダーライン、デュアリスみたいなリアランプと、新しさいっぱいの要素が溢れている。けれども、全体として「こういうカタチなんだ!」という明快な意図が読めないんである。


 
 先代はマーチの親分のように、ボディの上下をハッキリしたラインで分けるというテーマがひと目で分かった。フロントランプもリアランプもそのラインに沿って配置されていて流れがあり、とにかく破綻や無理がなかった。で、何よりオリジナリティも。

 ま、北米はこういうのが好まれるから、と言われてしまえば「そうなんですか」としか言いようがないし、とんでもなく酷いとかって話じゃない。ただ、ゴーン改革時に一気に出た秀作達に比べると、何だか最近の日産は少々ムラがあるというか、思い切りがないというか。

 キーデザイナーの強い「想い」のようなものが感じられないのが残念なんである。

(08/10/09 すぎもとたかよし)

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