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コラム&レビュー

新車心象風景:マツダ・ビアンテ

 
 5月の末に発売前のビアンテをここで取り上げましたが、そろそろ振り返ってみる時期かと思います。


 エクステリアデザインについては10名の方からコメントをいただきました。是非で分けると以下のような感じです(お名前は控えます)。

 ○:トヨタや日産と違う勝負をしている ○:トヨタを追っても仕方がない。大胆でいい ○:否定はしないが騒ぐほどのものじゃない ○:テールランプが主張していていい。すぐ慣れるカタチ ○:ちゃんと“デザイン”されている ○:志はいい。ライバルと一緒ではダメ △:なんとも言いようがない ×:基礎力のあるマツダらしくない ×:リアがきらい。ドンくさい ×:小手先のカタチ。もっと飽きないものを・・・ということで肯定6、否定3、その他1、ということでした。

 で、雑誌での評価ですが、今回はいままでとチョット違う展開になってますね。ベストカーなどでは、編集部員の大半が「これはちょっと・・・」という記事がありましたが、その他については明確な拒否反応があまり見当たらない。じゃ、皆がこのスタイルを受け入れているのかというと、どうやらそうじゃないみたい。

 ビアンテの新車紹介記事がいままでと違うのは、多くの場合でチーフデザイナーが何らかの形で露出していたこと。あんまりないでしょ、そういうクルマ。これは想像ですけど、たぶんマツダはこの特徴あるデザインに相当の戸惑い(あるいは反発)があるのを想定して、最初からチーフデザイナーに多くを語らせたんじゃないかな。コンセプトはこう、ここはこういう意図で、ここがこう新しい、とか。ま、自信のあらわれでもあるかもしれないけど。


 
 そういうことをメーカーにされたら、たいていの雑誌は「そうですね、アクティブですね、斬新ですね、これもアリですね」と書くわけですよ。それに逆らってまでダメ出しなんてとてもできないと。僕が各誌の記事を読んで感じたのはそういうことでした。皆さんはどう感じられたでしょうか?

 で、僕はビアンテ基本的にいいと思います。コメントにもいただきましたが、ライバルと同じことをやっても勝負にならないし、意味もない。だったら近年のマツダデザインをそのまま箱形ミニバンに盛り込んじゃえ、というのは間違いじゃないと。例の三角窓へ続く部分は完全にギミックだと思いますが、そのギミックの処理が結構上手かったとも思います。ただ、受け入れられないことが2点あるので条件付です。

 まず、前後のブリスター処理はどう考えてもうるさくて余計。これはそれこそ前澤氏と同じ意見で、あえてこれを取ってみれば相当スッキリすると思います。それからCSという廉価グレードあるんですけど、これが酷い。たとえば上級グレードに施されているグリルの横バーや、各部に用いられてアクセントになっているメッキ枠が省略されていて、結果、本来のデザイン意図が完全に消えてしまっている。

 デザインで勝負さ! という姿勢でやっておいて、いくら廉価版とはいえこういう手抜きモデルを平然と作ってしまうのはまったくイケナイですよ。コスト云々を言うんだったら、最初からエラそうなことを言ってはダメ。それこそデザイン軽視もはなはだしいもの。この2点がクリアすればねえ・・・。

(08/08/20 すぎもとたかよし)

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