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コラム&レビュー

新車心象風景:日産・ティアナ

 
 「落としどころ」 最初のイメージはそういう感じだったかな。

 東京モーターショー出品の「インティマ」のハイライトは何と言っても弓形のキャラクターライン。まあ、遠慮なく伸ばされた全長だからこそのインパクトはあったにせよ、とにかく狙いがハッキリしていた。


 量産型である新型ティアナも、基本的には同じテーマ。わりとイメージを残したなと感心したくらいに。けれども、思い切りのよさはかなり薄まってしまったんである。

 後ろへ下がるラインは、日産のトラウマである尻下がりに直結する可能性があるからか、リアランプに近づくにつれスーっと消えて行く感じ。壇れい様が着物姿で座っているTVCFや雑誌広告は照明の効果で結構陰影がしっかりしているけれど、実車を見れば意外なほどラインは甘い。


 
 おまけに、先代のイメージも残すためかトランクはしっかりウェッジしているから、なおさら下に向かうラインはあやふやになる。ちょっと離れれば、先代の印象が勝ってくるんである。

 だから、ここが「落としどころ」だったと。オヤ、と思うフロントのボリュームの大きさも含め、中国やロシアでの高級車としての要求が見え隠れすると。

 僕は、ルーフラインがキレイな弧を描く最近の日産セダン群に好印象を持っている。少なくともトヨタなんかよりはずっと磨かれたスタイルだと思うし。けれども、そういう日産でも思い切れない部分があるというのは面白いし、スタイリングの難しさを感じるんである。

(08/06/22 すぎもとたかよし)

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