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コラム&レビュー

新車心象風景:プジョー308

 
 ジリジリと国内販売台数を減らしつつあるプジョー。何か失礼なモノ言いだけど、飽きちゃったんじゃないだろうか、と思う。

 206のスマッシュヒットは、コンパクトながら伸びやかで、かつ愛らしい独創的なスタイル、豊富なカラー、MTの積極的導入、そして手頃な価格が揃ったからだろうと思う。そこにフツーの女性が振り向いたのも大きかったし。

 206は世界的ヒットだったから、その栄華をそのまま継続させたいのが人情。そこで端正な306がツリ目の307になり、207がさらにツリ目をきつくしたのも仕方がない。けれども、308がよりツリ目を長くしただけで出てきたのはちょっとどうかなと。


 口が大きくなったり、ボンネットのVラインが強調されたり、エンブレムが巨大になったり、部分を見ればそこそこ変えてはいるんだけど、全体としてはほぼ同じ。とくにウインドウグラフィックをはじめとしたサイドは全く変わってないように思えてしまうくらい印象が同じ。

 
 一貫性を持たせるのは悪いことじゃないけど、その中で確実に変わったと思わせるか、全然変わってないと思わせるかは結構微妙な味付けなんだと思う。一貫性重視のBMWやアウディはそのさじ加減が絶妙なんである。しかも、プジョーは高級車のように指名買いを続けるクラスのクルマじゃないのも痛い。

 かつてのプジョーはピニンファリーナが顧問となっていたけれど、206の成功で社内デザインに大きく舵を切ったんだと思う。けれども、その206から脱却をするだけの新提案がないまま3台のモデルチェンジが続いてしまった気がする。

 プジョーは最近、何と22年ぶりにチーフデザイナーが交代されたらしい。その一番の理由は分からないけれど、この交代劇において308は過渡期の作品に違いないと思う。だから勝負は次なんだろう、きっと。

 それまではやっぱり販売台数が微減して行く気がするんだけど、206がそうであったように、確実に「いいもの」ができればちゃんと市場は反応してくれると思う。妙な小細工じゃなくて、骨太な新提案を新しいチーフデザイナーが提示できるかどうか、なんである。

(08/05/13 すぎもとたかよし)

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