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■新車心象風景「トヨタ プレミオ・アリオン」
■トヨタ  プレミオ・アリオン■
(2001年12月25日発売)

◆主要諸元
 排気量:2000t(プレミオG)
 最大出力:152PS/6000rpm・20.4kgm/4000rpm(G)
 外寸(o):全長×全幅×全高=4600×1695×1470
 東京地区標準価格:162〜216万円

はじめに
 フロントグリルや前後のランプ類をチョコッと変えただけのいわゆる兄弟車は、一時期ほとんどのメーカーで多用していたやり方だ。まあ、たいていの場合はオリジナルネームの方ばかりが売れることになるわけだけど、複数の販売店用に行われるこの方法は、結構根強いものがあったりする。
 最新の例としてはトヨタのプレミオとアリオンだ。

兄弟車ふたたび
 先代となるコロナ・プレミオとカリーナも、既に同一プラットホームを用いた同じFF4ドアセダンだったから、実質もはや兄弟車のようなものだっただけれど、今度のプレミオとアリオンは見た目からしてもう完全に「双子の兄弟」になってしまった。「アリオンはプレミオよりスポーティさを演出している」なんてことをメーカーは説いているけれど、まあ、どこからどう見たって同じクルマだ。
 で、どうなんだろう? クルマ社会もそれなりに育ちつつあるこの21世紀の日本、もうそろそろこういう「お手軽企画」はやめた方がいいんじゃないか。

やっぱり商売
 なぜ?
 そもそも顔つきを少々変えたくらいで異なるネーミングをしてしまうこと自体、メーカー自らがクルマの価値観を軽んじている証拠じゃないか。つまり、まさにクルマの顔である「名前」よりも、商売の都合を優先させているということでしょう?
 売り易ければ何でもいいじゃないかという自分の都合。
 こういうやり方をしていると、結局はどっちつかずになって、両車ともが中途半端な存在になってしまう。なんせカリーナなどはもともとセリカのシャシーを流用した走りの異色セダンだったんである。それがいまじゃこの有り様だ。これもまた作り手が本当にクルマを愛していないが故の結果だろう。

何でもアリ
 とにかくヒドイのがこのトヨタだ。
 だいたいこのメーカーは、ラインナップからして一分のスキもなく次から次へとわずかな隙間を埋めているんである。だって、この2リットルクラスのセダンには既にビスタという同じFFの4ドアがあるし、FRを見ればアルテッツァだってある。排気量を別にすればプログレやブレビスだって大差ないサイズだ。いや、もっと言ってしまえばビスタベースの新世代セダンの提案であるオーパもある。だから、そもそもここにプレミオ(コロナ)が加わることからして既に無理があるワケで、かてて加えて同じ姿格好のアリオンなる兄弟が入り込むなんていうのは、無理をとおり越した愚行としか言いようがないじゃないか。
 しかも、この兄弟車の「ウリ」がミニバンに勝るとも劣らぬシートアレンジだというから笑わせる。そんなにイスをたたんだりひっくり返したりしたいのなら、最初から専用のミニバンにしておけばいいじゃないか。たかだかそんなことだけをセールスポイントに生まれてきた、この何のオリジナリティも感じさせない凡庸な格好のセダンを、だから僕は到底支持できない。

 トヨタはプリウスに続きエスティマ、クラウンと矢継ぎ早にハイブリッドカーの普及を進めていて、これを自らエコプロジェクトと呼んでいる。
 これらのハイブリットカー自体については、僕も本当に大したものだと思うけれど、じゃあ、別チャンネルの販売店向けに名前の違うクルマを出すため、わざわざ微細な違いのパーツをいくつも作ったりすることは、それこそ資源のムダだとは思わないのだろうか?  たとえば、アリオンをやめてプレミオ1本に絞ることによる材料費、製造コスト、広告費の余剰分を、プリウスやエスティマの価格引き下げに充てた方がよっぽどエコ的な思考だと思うのだけど、どうだろう?

(02/01/27 すぎもとたかよし)

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