■ガソリンよもやま話
2010■
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2009年度元売り別販売量シェア
日本経済新聞の「点検シェア攻防 本社調査」によると、2009年度のガソリン国内販売量は5756万キロリットルと、前年度より0.1%増加した。エコカー普及などを背景に05年度から減少が続いていたが、5年ぶりにプラスに転じた。高速道路休日上限1000円割引制度が始まり、交通量が増えた効果が大きいとみられる。
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シェア(%)
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前年度比増減(%)
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新日本石油(ENEOS) |
24.8
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+ 1.5
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エクソンモービル |
16.8
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▲ 0.1
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昭和シェル石油 |
16.1
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▲ 0.2
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出光興産 |
15.2
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+ 0.2
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コスモ石油 |
11.4
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+ 0.1
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ジャパンエナジー(JOMO) |
9.9
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▲ 0.1
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その他 |
6.8
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▲ 1.4
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新日本石油(ENEOS)は、不採算店閉鎖などスタンド数(約9500)が1年間で約5%減少したが、08年10月の九州石油(元売り7位)合併効果がフルに表れシェアアップ。エッソ/モービル/ゼネラル3ブランドを展開するエクソンモービルは、スタンド数は6%減少したが、シェアは0.1ポイントの減少に止め2位をキープ。3位以下も順位に変動はなく、シェアも小幅に増減。
10年度は、高速特需がはげ落ち、販売量は再び減少する見通し。
新日本石油とジャパンエナジーが7月に統合、JX日鉱日石エネルギーが誕生した。来年3月までにJOMOスタンドはENEOSに統一され、新会社は約35%と圧倒的なシェアを握る。縮小市場で首位に一段と差をつけられる2位以下が、運営効率化と集客増に向けてどう動くかが、10年度のシェア変動を左右。
(2010年9月24日)
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やっぱりそうだった!顧客満足度調査
J.D.パワー アジア・パシフィックは「2010年日本サービスステーション(ガソリンスタンド)顧客満足度調査」結果を発表した。フル/セルフサービス別に、スタッフやオペレーション、商品・サービス、店舗施設などの満足度を測定し総合満足度を算出した。
フルサービスの満足度ランキングトップは「ENEOS」。店舗施設とサービスオペレーションでトップ評価を獲得、昨年の7位から大きく躍進した。2位は「Shell」。店舗施設でトップ評価を得た。3位はスタッフがトップ評価の「COSMO」。
セルフサービスの同トップは「MITSUI」。精算・支払い、商品・サービス、サービスオペレーションがトップ評価を獲得。2位は「JOMO」。スタッフと店舗施設がトップ。3位は「Shell」。トップ評価はないものの全ファクターが業界平均を上回った。
セルフ店を主に利用している人の割合は、昨年の64%から更に増加し67%となったが、過去数年に比べると伸び率は鈍化。また、満足度スコアは昨年から、フルサービスが平均で4ポイント向上したのに対し、セルフサービスでは13ポイント低下した。燃料価格や精算・支払い、給油機の操作性などの満足度が特に低下している。
ここ数年、低価格、店舗の新しさ、入りやすさなどを武器に急増したセルフ店だが、その存在・サービスが目新しいものではなくなってきた今、これまでと同じような店作りでは顧客を惹きつけることが一層難しくなってきているのではないだろうか。
前回、近隣の状況をレポートし、「いつの間にか、あれほど激しかった価格競争はすっかり鳴りを潜め、セルフの優位性も無くなっていました」と記しました。全国的にも、「やっぱり!そうだった」のですね。
(2010年9月1日)
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セルフもフルも同価格
ここ数年、近隣でも多くのガソリンスタンドが廃業、生き残ったところも、フルサービスからセルフサービスへの転換が加速しました。昨年末には全国のおよそ2割(8,000軒)がセルフになったと報じられましたが、この近辺ではその比率ははるかに高く、むしろセルフの方が主流になった趣すら見られます。
そして、最近、あちこちで目にする価格看板が“どこも同じだなぁ”と感じていました。で、しばらくぶりに状況をチェックしてみました。大和市役所周辺半径2〜3km内を車で小1時間かけて収集した結果は下記のとおりです。
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ガソリンスタンド数
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セルフサービス
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フルサービス
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計
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ENEOS |
4
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3
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7
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ESSO |
0
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3
|
3
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IDEMITSU |
2
|
0
|
2
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COSUMO |
2
|
0
|
2
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MOBIL |
0
|
2
|
2
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JOMO |
1
|
0
|
1
|
SHELL |
0
|
1
|
1
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SOLATO |
1
|
0
|
1
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合計 |
10(53%)
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9(47%)
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19
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レギュラガソリン表示価格
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通常
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特別
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127 円/L
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124 円/L
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9軒
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125
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4
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126
|
1
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無
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1
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計
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15(79%)
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129 円/L
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126 円/L
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1
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131 円/L
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無
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1
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未表示
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2
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やはり、セルフ比率は5割を超えていました。価格についても、セルフ10軒全てが同一価格(レギュラー127円/L)を表示、さらにフルサービスの半数以上もセルフと同価格でした。さらに、会員やクレジットカード、プリペイドカード等を利用した場合の特別価格として、上記15軒のうち9軒が124円/Lを表示。残り6軒は125円が4軒、126円が1軒、未表示1軒でした。
いつの間にか、あれほど激しかった価格競争はすっかり鳴りを潜め、セルフの優位性も無くなっていました。これって談合、カルテル???
競争のなくなった経済社会は成長エネルギーが失われ、いずれ衰退に向かうと言われています。一見すると、皆が平穏に共存しているようにも見えますが・・・、束の間の何とかでしょうか???
このままの状態が続くとは、決して思えません。
(2010年8月13日)
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エコカー普及で曲がり角のGS
エコカーの普及でガソリンスタンド(GS,SS)業界が危機感を募らせている。電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)などが主流になればガソリン需要が激減し、10年後の2020年度には全国に約4万か所あるGSが3分の1以下になるとの見方もある。
業界団体は、エコカーに対応したGSの整備も検討、しかし、給油機の代わりに急速充電器を導入すれば設置費は約1000万円、維持費は最低でも年間190万円程度かかり、1台当たりの充電料金は400〜500円程度にとどまる。地方の生活基盤を揺るがしかねず、国や業界団体が対応策の検討に乗り出した。(読売新聞
3/10)
全石連がまとめた、「次世代自動車対応SSの将来像を考える研究会報告書」は、自動車市場の縮小や燃費改善、次世代自動車の普及に対応すべく、「石油販売業」から「総合エネルギー産業」への進展に向けた展開を図ることが期待される。既存の油外販売に加え、カーシェア・カーレンタ等の事業拡大を図るとともに、新規油外販売として、太陽電池や燃料電池、蓄電池など新エネ・省エネ機器やシステムの販売を手がけることが必要としています。
EVは家庭用コンセント(100V)でも充電できますが、フル充電に8〜14時間かかります。したがって、走行距離の短いEVの普及に、15〜30分で充電可能な「急速充電器」の設置個所拡大は不可欠です。しかし、現状では機器や設置コストが高く、上記報告書も、政策誘導や行政支援がなければ、GSのビジネスとして成立しないとしています。
また、滞在(駐車)時間の短いGSやコンビニは、充電インフラとして適していない。当面は自治体の施設やカーディーラーが、将来的にはファミレス、百貨店、スーパー、病院、遊技施設なども対象に、との見方もあるようです。
いずれにせよ、GSにとって、エコカー普及は逆風のようですね。
(2010年3月16日)
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